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フォームとアクセシビリティ

ポジティップスの更新担当、ネモフィラ社員Mです。
株式会社ネモフィラはアクセシビリティ診断サービスを提供しています。

しばらく、アクセシビリティ診断レポート作成や検証作業の中で発見していったアクセシビリティの話をしたいと思います。

JIS規格アクセシビリティのフォームへの注目度

JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表(レベルA & AA)早見表の「A」レベル適合項目を読み込んでいて思うのは
フォームの動きに対する注目度が高いということです。
引用:JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表(レベルA & AA)早見表

引用:JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表(レベルA & AA)早見表 

上記、赤枠で囲った
達成基準
「3.2 予測可能」「3.3 入力支援」「4.1 互換性」は
ほぼ問い合わせなどのフォームの入力に対して診断する項目で、
診断Aレベルであれば25項目中6項目、15%以上がフォームの入力に対して診断する項目です。

これは前回の記事で話したように、
視覚障がいで車の運転は難しいでしょうし、高齢なのでお店で買うのが難しい、なんてケースも考えられます。
だからこそ、障がいのある方々はネット通販をむしろ健常者より頻繁に使い、そのユーザビリティを注視していると推察され、アクセシビリティの診断項目の15%以上がフォームに関するものだということは現状一般的なフォームに対する障がい者の方の強い不満、要求の表れだと思えます。

フォームへのアクセシビリティ対策に対する社会の認識は…

こうやって考えてみればわかりますが、WEBデザイナー歴10年の自分ですらお問い合わせフォームがアクセシビリティの重要項目であるとは認識していませんでした。

下記は障がいのある方への意識をいかにしてないかの表れだと思いますが、
広く普及するわかりやすい具体例を出しました。

具体例「reCAPTCHA」

障がいのある方への意識をフォーム設計者がいかに向けてないか理解ができる具体例として、
よくあるロボット回避を図で再現してみました。

reCAPTCHAの例

インターネットを使用している方は一度は見たことがあると思います。
この仕組みは「reCAPTCHA」というのですが、
ログインやアカウント登録時に変形文字が表示されるので悪意あるプログラム(ロボット)を使用した自動入力による不正アクセスをはじくことができます。

しかしアクセシビリティ上、問題点があるのが一目で分かると思います。

視覚障がい者のスクリーンリーダーなどによる代替操作に全く対応できていない。

そのため代替技術として入力スピードで自動判別して「 私はロボットではありません」というチェックボックスだけになっていることも最近は多くなりましたがまだセキュリティに厳格な、購入情報入力フォームなどでは「reCAPTCHA」は現役です。
これが対策されていなければ視覚障がいのある方は入力不可能になり次の操作に移ることができません。

具体例「reCAPTCHA」へのアクセシビリティ対策

アクセシビリティを担保しつつセキュリティ上の問題から「reCAPTCHA」を設置するなら、音声を読み上げるなどの代替操作を可能にする必要があります。

reCAPTCHAの対策例

音声を読み上げるなどの代替操作を選択可能にする、これなら代替技術を使用している方にもフォームが入力可能になり次の操作に移ることができます。
海外サイトでは増えてきましたが国内サイトではまだまだアクセシビリティの発想は浸透しておらず、
国内有数の大手ネットショッピングサイトのセキュリティフォームですらアクセシビリティ対策をしていない「reCAPTCHA」を使用しているのを、ついこの間、確認しました…

アクセシビリティはフォーム選択の判断材料

わかりやすい例は上記の「reCAPTCHA」ですが、
もっと技術面でアクセシビリティに適合しているかどうなのか?はさすがにわからないと思います(buttonがinputだとかフォームにlabel要素ない等々etc..)
フォームを導入する予定ならアクセシビリティはフォーム選択のひとつに
自社開発フォームでないのなら、「アクセシビリティ対策済み」「アクセシビリティAA適合」など明記されているフォームを積極的に選ぶなどアクセシビリティの配慮がフォーム決定の判断材料にもなるかと思います。

…とはいえ、現状まだまだアクセシビリティ適合が明記されたフォームは私も知らないくらいなので
導入予定のフォームがアクセシビリティ的にどうなのか
ネモフィラのアクセシビリティ診断サービスで診断してみるのも手です。

アクセシビリティ診断サービス

フォームはBtoCビジネスでは売り上げに直接かかわる項目です。
そのフォームのUIの使い心地は売り上げアップに直接繋がるものかもしれません。
セキュリティはもちろん大切ですが、是非、アクセシビリティ目線でも仕組み、動作などを導入時に比較してみてください。

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