1. HOME
  2. 特集
  3. ウェブアクセシビリティ対応度大調査(2024年7月時点 )

Blog

記事

ウェブアクセシビリティ対応度大調査(2024年7月時点 )

こんにちは!ネモフィラ営業のHです。
“ウェブアクセシビリティ対応が求められているのは理解しているが、ウェブアクセシビリティの目標設定ってみんなどこを目指しているの?”“一度目標立てたら必ず守らなきゃいけないの?”…etc ウェブアクセシビリティについてお話すると聞かれることがありますし、実際にウェブアクセシビリティ対応しようとすると気になってくるところだと思います。

今回の記事では、実際に企業・団体がどんな目標を立ててウェブアクセシビリティに取り組んでいるのか探っていきたいと思います。

ウェブアクセシビリティ方針ページ策定について

今回の調査項目や対象について説明するにあたって、ウェブアクセシビリティ
方針ページについておさらいします。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(Web Accessibility Infrastructure Committee)が普及を促進しているJIS X 8341-3は国内規格であり、そこではウェブアクセシビリティ方針を定めることを推奨しています。

そしてウェブアクセシビリティ基盤委員会のウェブアクセシビリティ方針策定ガイドラインによると、方針を策定する際には①対象範囲、②A(シングルエー)、AA(ダブルエー)、AAA(トリプルエー)の3段階からなる適合レベルと配慮、一部準拠、準拠の3段階からなる対応度、③その他(目標を達成する期限や追加で目標とする達成基準等)、について明記することが推奨されています。
参照:ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン

対応度について

その中で対応度については、さらに表記ガイドラインがあり、対応度の表記について以下の要件が定められています。

表記ウェブアクセシビリティ方針の提示又は公開目標とする適合レベルの達成基準の試験結果追加で表記が必要な事項
準拠必須試験を実施し、達成基準を全て満たしていることを確認した上で、試験結果を公開するなし
一部準拠必須試験を実施し、達成基準の一部を満たしていることを確認する。試験結果の公開は任意今後の対応方針、部分適合を適用する場合は、その記述
配慮必須試験の実施の有無、結果は問わない目標とした適合レベル又は参照した達成基準一覧

これを要約すると、対応度が準拠の時以外は試験結果の公開は任意(配慮の場合は試験の実施自体も任意)となっています。対応度が準拠以外のところではその企業団体の考え方で公開するか否か対応が分かれてきそうです。
参照:ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン

今回の調査について

今回の調査は以上のことを踏まえて、方針ページ内の①目標とする適合レベル・対応度、②試験実施等のウェブアクセシビリティ対応後の結果、実際の適合レベル・対応度、③(試験を実施している場合)試験結果の公開しているのか否か(=達成基準チェックチェックリスト等を公開しているか等)、の3点を調査し、企業・団体でどんな傾向がありそうか探ります。

そしてその調査の方法として、前述のウェブアクセシビリティ基盤委員会がX(旧Twitter)のアカウントから日々、ウェブアクセシビリティ対応を始めた企業・団体について呟いています。

その呟きから改正障害者差別解消法が施行される1年前の2023年4月から現在(2024年7月)にかけてどんな企業・団体がウェブアクセシビリティ対応に向けて動いているかを調査します。
参照:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (@waic_jp) / X

調査した結果について

前述の期間に取り上げられたサイトは全部で132件にのぼり、その中で企業、官公庁・自治体、一般社団法人等の非営利法人の3種類に分類すると企業が39件、官公庁が75件、非営利法人が15件という内訳となりました。

この132件についての目標とする適合レベルと対応度、実際対応している適合レベルと対応度、試験結果の公開の有無(=達成基準チェックチェックリスト等の公開をしているか)、の3つの項目を集計しグラフ化すると以下の結果となりました。

動向調査(2023年4月-2024年7月)

目標とする適合レベルと対応度AA準拠が83.3%

目標とする適合レベルと対応度についてウェブアクセシビリティ方針ページに記載あるものを分類すると①の円グラフのとおり、AA準拠が83.8%と大部分を占め、続いてA準拠(5.3%)、A配慮(3.8%)という結果となりました。
続いてウェブアクセシビリティ試験を実施した結果、実際対応している適合レベルと対応度について見てみましょう。

実際対応している適合レベルと対応度、AA準拠54.7%A一部準拠33.7%

アクセシビリティ試験を実施した団体は86件、AA準拠が54.7%、A一部準拠が33.7%、続いてAA一部準拠(3.8%)、A準拠(3.8%)となりました。

実際対応している適合レベルだけで分類すると、AAが60.5%、Aが39.5%という結果になりました。

目標では8割以上がAA準拠を目指していましたが、その中でも試験した結果、実際対応しているところは5割程で、それ以外は、今は目標未達成だが、目標達成に向けて努力していくという企業・団体も多いことが明らかになりました。

最後に試験結果の公開の有無について見てみましょう。

試験結果の公開非公開について、公開98.9%非公開1.1

先ほどの②の実際の適合レベルと対応度のグラフからすると、公開する義務がある(AA準拠結果)のは5割ほどでしたが、試験を実施したほぼ全部の団体で試験結果(達成基準チェックチェックリスト)の公開を行っていることがわかります。

試験結果を公開することで、企業・団体としてこれからもウェブアクセシビリティへ対応していく姿勢を打ち出しているのが伺えます。

ウェブアクセシビリティの目標について今考えてみませんか

調査の結果から、各企業・団体毎に様々な目標を立てていて、実際の試験の結果を問わず、今後目標達成するべく試験結果を公開している企業・団体が多いことが明らかになりました。

これは罰則がないからアクセシビリティ対応しない、試験結果の公開をしないではなく、どんな方であってもホームページを通じて行動に移せる機会の創出が求められていることを各企業・団体が理解し、そしてどんな風にアクセシビリティに対応していくのか外部に発信していくか、ということを重視している企業・団体が多いと言えるのではないでしょうか。この機会にウェブアクセシビリティについて考えてみませんか?

ネモフィラは企業様のサイトにおけるWebアクセシビリティ診断サービスを提供しております。ご質問も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

Webアクセシビリティ診断サービス

最近の特集一覧