建築ラッシュの二次被害

この記事は、Positips編集部員Aが送る、ローカルネタです。
仕事柄、月に1回、不動産屋さんに行って打ち合わせをする。
そこで管理しているブログの更新情報をお聞きするのだが、それ以上にいろんなお話を伺える。
不動産屋さんと言う職業は、この島の土地や家屋の売買はもちろんのこと、この島で商売している方の入れ替わりや移転など、言わばその土地の経済の栄枯盛衰を長年見てきている方である。よって、多くの知見を土地と結びつけて把握されている。
普段、クルマで通っている街並みすら、じつは目には見えない沢山の事象が隠れていることを教えてくれるのだ。
今日は、先日仕入れた最近の宮古島の土地事情をお伝えしたい。
題して「建築ラッシュの二次被害」
一時期ネットニュースやTV番組でも取り上げられたほどに、宮古島はマンション建設ラッシュに追われた。令和も3年目を迎える今もなお、いたるところでマンションや安価な建築資材(まさかの木造まで!)や素早い工程で構築される建設途中の集合住宅を多く目にする。
そう、「宮古島は建設ラッシュ、建築バブル」などと全国ニュースでも称されたそれだ。
余談)離島のリゾートバブルの成れの果て
西表島の荒れ果てた西海岸風の旧リゾート地や、絶景を見下ろす崖の上にそびえたつヤマネコの巣と化した豪邸別荘、石垣島でオーナーが行方不明のマンションなど、小生は一時の沖縄ブームやリゾートバブルに踊らされた不動産の成れの果てを目(ま)の当たりにしてきた。
西表島の荒れ果てた西海岸風の旧リゾート地は、鳩間島在住時(2008~2010年)に大変お世話になった元建設会社の剛腕建築士が案内しれくた。「親戚に会うついでにドライブでもするか!」と、鳩間島への観光客が少ない時期にわざわざ知り合いから赤いパジェロミニを石垣島から運ばせて西表島をドライブした。
※画像はイメージです。まだ当時ガラケーでしたし。
上原港から少し離れた茂みにカギつけたまま放置されたクルマのドアを開けると助手席の足元にハブがとぐろを巻いてて気絶しそうになったことを今でも鮮明に覚えているw(千葉県の鋸山(のこぎりやま)で黒ヘビに100mほど追われた経験あり、ヘビは大の苦手)
なにせ、軽とはいえ三菱が誇る4WDのパジェロでのドライブ。さぞかし、普通のレンタカーでは入っていけないような山道を抜けて、決して観光客が行かないようなまだ見ぬ秘境を案内してくれるんだろう!と期待が高まった。
が、最初についたところはまぁ沖縄ならどこにでもよくありそうな白壁もまぶしい西海岸風の高級そうな低層住宅が並ぶ海辺の一角だった。
※画像はイメージです。もう少しボロかったw
自分「なんすかここ?」
Mさん「沖縄に住むからには、きれいな部分だけ見てたらダメだから、こういうのもよく見とけ」
自分「?」
きれいじゃん?と思いながら、クルマを降りて、道路側から見ていたのとは逆側、海沿いへ抜けてその住宅街へ近づいた。
口が開いたのを覚えている。
道路からみたそれは美しい家並みだった。
しかし、海辺の砂浜から見たそれは、廃墟だった。
どの家も海に面したガラスは割られ、というか窓という窓にガラスがほぼなく、家具は散乱というか腐り果てて、中は凄まじい状況だった。
度重なる台風にもさらされたのであろう、なにもかもひっくり返っていて、ミキサーにでもかけたような状況だった。
「バブル期に建てられた別荘。今じゃ管理会社も連絡つかず、だれがオーナーかもわからないってよw」
※画像はイメージです。
その後、今度はぐいぐいとパジェロミニは山を登って行った。
自分「やっぱ4駆はいいっすね!」
Mさん「これ2駆ってよ」
自分「・・・」
そんなこんなで辿り着いたのは崖の上。
しかも道路わきのガードレールとかもないので、ちょっと乱暴な運転しようものならあの世行きになりそうな不整地が続いた矢先に現れたのは不気味な形をしたお屋敷だった。
今までみたこともない形、うーん、きのこ?と軍艦がくっついたような別荘?そんな感じ。
※画像はイメージです。
実際の色は、もっとグレーとか汚れた黒とかで、なんとも不気味だった記憶がある。
自分「景色はいいけど、なんかやばそうっすね」
Mさん「バブル期にアジアの某国の金持ちが建てて当時はほぼ住み付いてて毎日のように酒池肉林三昧だったらしい。その後はオーナーがどんどん変わったあげくにこのざまさぁな。ある意味いろんな名所だからこれ以上は近寄らないほうがいいけど、行きたいか?」
自分「結構です(即答)」
なるほど。異国の金持ちに大枚掴まされて言われるがままに建てたはいいが、その後は、その風変りでデカすぎるゆえに買い手もつかず、というか、不便すぎる場所であり、人里離れてるので途中の道路もあんなに危険なまま整備されないわけだ。。
Mさん「これ、西表島に似合うと思うか?建てりゃいいってもんじゃないんだよ。ここからは絶景(ぜっけい)だけど、下からみたら滑稽(こっけい)だよw」
めずらしくMさんの発言に「う、うまい!」と頷いたのを覚えている。
※画像はイメージです。
その後、大原から石垣島へ渡り、最後に行ったのは、市内からそう遠くないカーブの途中のほどよく海が見えるマンション物件。
「普通っぽいすけどなんすか今度は」
「よく見てみろ、誰も住んでないんだ。オーナーが行方不明」
「・・・」
何を隠そう、ワタス自身も東京でさんざん土地所有者に希望的観測でしかない”でたらめな”10年後や15年後なんていう賃料査定を出して「お宅の土地はワンルームマンションを建てるとこれだけ税金対策できて、これだけ賃料収入が見込めます、当社に任せてさえいただければ」なんていういわゆる、土地開発営業・サブリース開発営業、なんてことを右も左もわからぬ新卒社会人1年目でやっていた。というかやらされていた。
ので、マンション入居者からの賃料収入があるにも関わらず行方をくらますということがオーナーがどういう状況なのか、またどういう心境なのかは察することができた。
「マンション建てて儲かる人なんて、よっぽどの土地と金にそもそも余裕がある人だけだ。一時の流れに乗って先祖から頂いている大事な土地にマンション建てて儲けようとして、結果バカでかい借金抱えて行方不明さ」
※画像はイメージです。
その行方不明のオーナーが、Mさんにとって大切な幼なじみだということは、その夜、石垣島の居酒屋で知った。
「あいつは、大バカ野郎だぁー!バウカヤロー!!」
そう連呼するMさんに肩を貸しながら宿まで歩くのが結構難儀だったことを記憶している。
話を宮古島に戻そう。
(どんだけ寄り道してんだっつう話w)
建築ラッシュの二次被害の話だった
そう、建築ラッシュによりあっちゃこっちゃにマンションが建ったわけですが、なんとそのマンションに隣接する土地に結構な被害が及んでいるらしいのだ。
となりにいきなりドドーンとマンションが建つとどんな被害が出るのか。
・日照問題=日当たりが悪くなり戸建てを建てるに値しない土地になる(価値が下がる)
・非閑静化=プライベートが確立された戸建てにピッタリだった土地も、人や車の往来が気になる賑やかな土地となる(戸建てに向かなくなる)
とくにマンションの駐車場やマンションのベランダ側に面した土地は、戸建てを建てたら見下ろされる、人目にさらされる、騒音問題など状況は一変する。
・風通し問題=壁のように風通しを塞ぐマンションが建つことで以前は風が吹き抜ける良い土地だったのが風の当たり方まで変わったりする。
大袈裟な、と思う人もいるかもしれない。
がしかし、当方、世田谷区の駒沢でマンション建設の際、近隣住民への説明会で案内係をした際に、近隣住民から「生玉子」を投げつけられたことがあることを付け加えておく。
まぁ、そういう反対派を金で雇い街宣車まで出動するケースもあるし、最後まで反対してマンション建設が開始できないとお金で解決なんてこともあるので金欲しさに粘る住民のフリをする悪徳業者なんてのもいるわけだけど、自分はリアルにその「建設予定地の隣りに住む高齢者」から至近距離から結構な強さで玉子を投げつけられたのだ。
地面に落ちた割れた玉子を掃除しながら、社会人1年目にして「仕事とは何か」を考えされられたこと、そして、物理的よりも精神的な痛みが数日続いたことを覚えている。
※画像はイメージです。
まぁ、これがそもそも「商店を営んでいる」なんて場合は、集合住宅が近隣に出来て一挙にお客さん候補が増えて嬉しい悲鳴になるかもしれない。
が、将来戸建てを、なんて考えていた方にとって、知らぬうちに隣りに大型マンション、なんて目も当てられない状況になっているケースも当時の東京では多々あり、まさかの宮古島もその現象が今、巷に溢れているという。
で、そんな状況に陥ると次に何が起こるか。これだ。
新たなビジネスが動き出す
そう、そういう土地所有者を狙って、昔の自分ような土地の仕入れ担当営業が涎(よだれ)を垂らしながら近寄ってくるのだ。
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、マンション建てませんか?
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、アパート建てませんか?
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、安い木造住宅建てませんか?
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、商業施設建てませんか?(場所による)
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、駐車場にしませんか?
・おたくの土地、もう戸建ては厳しいから、我々に売ってくれませんか?
「嘘つけ!そんなことない!」なんて思わないで欲しい。
何を隠そう、当方もこういう営業を実際に行っていたのだから。そして、最近も不動産時代の先輩からこんな電話が。
※画像はイメージです。
先輩 「宮古島建築バブルって?楽しそうだな。俺も土地探しに行こうかなー」
小生 「いいっすよ来ないで」
先輩 「そんな冷たいこと言うなよー」
小生 「宮古島、ハブが凄いっすよ。毎日噛まれまくりです」
(大嘘をついてしまった。小生を噛むのは主に蚊だ。宮古島にハブなんぞいやしない。)
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