とある最終出勤日の話

※画像はイメージです。実際はビジネスパンチパーマ。で、もっとヤクザっぽい感じでしたw
鬼の入内島
どうも、Positips編集部です。今日は最終出勤日にまつわるお話をひとつ。
過去に2人、退職日に頂いた忘れらない言葉がある。
1つは新卒で入社した不動産会社の開発営業本部での話。隣りの部の入内島部長。詳しく言うと、自分が退職する5月の直前、4月の組織改編で隣の部の部長から本部長に格上げされた本部長。
たかが新卒で入ったペーペー社員が2年目の春に「もう辞めます」と言い出した、会社からしてみれば「せっかく採用してゼロから教育してやったのにこの野郎!」的な損害を被るに近い辞められ方であって、部署としてもいい迷惑な話。
その本部長に退職当日、声をかけられた。
「応接室に来てくれないか?」
まともに話したこともない、元隣りのシマの「無口で恐れられている高倉健みたいな部長」。いや本部長。この会社ではプロパーでもないのにどっかの建設会社か何かの叩き上げで伸し上がった末に会社のナンバー5に入る実力者。隣りのシマで、部下を叱咤する姿を見てるだけで正直チビリそうになったこともしばしば。
ドキドキしながら応接室のソファーで対峙した。
ひょっとして、
・まさか去年の秋に会社の社用車を居眠り運転で大久保通りのガードレールに当ててドアミラーがブラーんってなった事件をまた掘り返されるのか?
・まさか先輩に「これも現調(現地調査の略)のうちだぜ」と言われ昼から行った池袋の〇〇〇〇の件でお咎めか!
・まさか札幌出張時に現地の建設会社幹部から受けた接待で生まれて初めて芸者と興じた野球拳とその後のまったく無い記憶の詳細が明るみに?
・まさかその翌日ス〇キ〇で1人2杯で25万円ぼったくられた(全額先輩が払った)件が明るみに?
※各エピソードの詳細は後日別記事にて詳細を連載予定(すべて実話)
本部長「次に行く会社はどんなところなんだ?」
予想と反して、穏やかに切り出された。
「会社辞めるにあたって、不安な点とか困ってることなどはないか?」
特に問い詰めるでもなく、なぜか優しい質問をソフトにされ、人生初の「退職」で妙な緊張感があった1日の終わりに、やたらと気持ちが和らいだのを覚えている。
まぁ、今となっては退職者に対するマニュアル通りの行動なのだろうけど、当時の青かった自分はそんなこと知る由もなくw
自分「あの部長、いや本部長、、どうして本部長がこんな今日辞める自分を気にかけてくれるんですか?」
本部長「いいか、おまえは今日の定時に会社の敷地の外に出るまで俺の部下なんだよ。だから、それまではおまえがちゃんと気持ちよくこの会社を問題なく辞められるよう見届ける責任が俺にはあるんだよ。まぁおまえもいつかわかるよ」
鬼の入内島と言われ社内外から恐れられた男の、あんな優しい笑顔を見たのは、これが最初で最後だった。
鬼の山口
もう1人の忘れられない言葉はこちら。
上述した入内島さんと同じ不動産会社の直属の上司。山口課長だ。
ダイエーグループで、かの〇内会長の直下で働いていたバリバリのサラリーマン。
なんとダイエーの鮮魚売り場で魚を捌いてたのに出世街道をひたすら這い上がりダイエー本社へ。
その後、何の因果か自分と同じダイエーグループの不動産会社に配属。
この人と過ごした1年は地獄だった。幸い、OJTに就いた先輩がとてつもなく優しかったのでやってこれた。
けど正直、刺し殺す夢を何度も見るくらい、地獄の毎日だった。
・OJTの先輩が「もう帰っていいよ」と言ってるのに無理に仕事を作り終電まで残業させる。(毎日)
・残業→西新宿のサウナ→ビジネスホテルで深夜麻雀→カプセルホテル宿泊。(週2-3)
・先輩方が麻雀してる横で分厚いEXCEL本を見ながらパソコン操作を勉強させられる。(だいたい23~27時)
同期はみんな定時であがってるのに、バブル期のなごりが抜け切れないこの糞上司に毎日付き合わされた。
小僧扱い、嫌がらせ、パワハラ、なんでもありのコテコテの関西人だった。
ちょっと逆らうと、翌日決まってOJTの先輩に矛先が向かうのが嫌だったのでまぁ仕方なくほぼ耐えた。
「いつか刺す」と思いながら。。。
そんな大嫌いな上司=山口さんが、自分の退職日に放った言葉がこれだ。
「ええか。今日の18時過ぎたら、お前とワシはもう上司と部下でもなんでもない、ただのおっさん同士や。ただの社会人のおっさん同士やで。もう小僧とも〇〇〇ちゃん(下の名前)とも呼ばへん。〇〇さん(苗字)と呼ばんとあかんわー。きっついなーw。まぁええわ!ほな居酒屋いこか!」
そしてその後の東中野のシケた居酒屋で開催された自分の送別会では、本当に「〇〇さん」と呼ばれ酒まで注いでくれた。
ベロベロに酔って二人で乗った東急線車内で別れ際に言われた。
「〇〇さんはどこ行っても大丈夫やで!ワシよりきっつい上司なんてようおらんわ。あとの人生、楽やでー!!」
いつか刺すと思っていた上司に、最後の最後で感謝で涙が溢れた。
※数年後、山口さんは不動産業界を辞めて、横浜市青葉区の自宅のそばで夢だった鮮魚屋を開いた。
今でもコテコテの関西弁で元気にわめきちらしながら、活きのいい魚を裁いているに違いない。
退職日の朝
前職の会社を辞める日の朝会で、今日が最終出勤日であることを改めてみんなに告げた。
そして「自分は、一時でも一緒に働いた人間は、生涯同僚だと思ってますんで、これからもよろしくお願いします」と伝えた。
まぁ、カジュアルに。感動的でも何でもないけど、これが本音だ。
今の時代、連絡とろうと思えばLINEだのFacebookだのInstagramだのでいくらでも近況報告だって伝えあえる。地球上に数ある生命体の中で、わずかの限られた生き物としか出逢えないのだから、すべての出逢いを大切にしたいと思う。
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